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2022年6月30日木曜日
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2022年6月24日金曜日
キャレン「熱力学および統計物理入門」を眺め終えた
H.B. キャレン(著)、小田垣孝(翻訳)「熱力学および統計物理入門」第二版、上1998年・下1999年、吉岡書店
を眺め終えた。
タイトルに偽りなく、熱力学および統計物理入門について書かれている。
熱力学入門+統計物理入門ではなく、
熱力学(450ページ)+統計物理入門(150ページ)である。
日本のよくある熱力学の教科書と違って熱力学の歴史を追わない。
しかし、アメリカスタイルの大量の文章による説明で書かれているためページ数は多い。
熱力学の本だと思うと、もっと洗練した記述にして欲しいし、
統計力学の本だと思うと内容として物足りない。
原書の第一版は1966年であるため、やはり古い記述がある。
大学3年生から大学院初年次用と書いてある。
熱力学と統計力学の一冊目の本としてはつらい。
手元にあるのが一刷であるためか、誤植がかなり多く、本が嚙みまくっている。
上巻のカバー裏にも「列題や問題が数多く与えられているので」と誤植がある。
どうやって間違えたのだろう。
幾何学的な説明が多い。
研究レベルで使用されているらしいデータカタログでの計算が紹介されているのは楽しい。
私は臨界現象について勉強したことがほとんどないため、面白く読めた。でも臨界現象についての記述は20ページだけ。
入門レベルの問題の例題は少ない。
アメリカスタイルの本らしく宿題用の問題が羅列されているが、
解答例は書いていないので、本書では計算技術は全く身に着かない。
訳書独特のとっつきにくさや古さを感じる。
熱力学の歴史の話にうんざりしている人には、
選択肢の一つになりえると思う。
量子力学やベクトル解析を知らなくてもある程度読むことができるため、
大部分は大学2年生から読むことができると思う。
2022年6月23日木曜日
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森本「ある女性数学者の回想」を読んだ
2022年6月14日火曜日
2022年6月13日月曜日
2022年6月12日日曜日
2022年6月11日土曜日
2022年6月10日金曜日
高橋佐藤「ARPESで探る固体の電子構造」を眺め終えた
高橋隆、佐藤宇史「ARPESで探る固体の電子構造」2017年、共立出版
を眺め終えた。
100ページの薄い本。
数式は5個しかなく、このシリーズの中では特異な本である。
角度分解光電子分光について軽く説明した後、
高温超電導体、グラフェン、トポロジカル絶縁体について解説される。
著者は高温超電導体のニュースを聞いた時に、
やっている共同研究を中止して、高温超伝導体に乗り換えたらしい。
そんな著者の本なので、トピックも異常に流行した
物性音痴の私でも聞いたことのあるものばかりである。
なので、私のような素人でも読んでいて、それなりに楽しい。
量子力学と統計力学の入門を終えた大学4年生ぐらいが
読むのにちょうどいいと思う。
2022年6月9日木曜日
2022年6月8日水曜日
砂川「熱・統計力学の考え方」を眺め終えた
砂川重信「熱・統計力学の考え方」1993年、岩波書店
を眺め終えた。
タイトルは熱・統計力学となっているが、
最後の章に統計力学のことがおまけのように書かれているだけで、
それ以外は熱力学について述べられている。
この本で、統計力学を学べると思わない方がよい。
熱力学については、
私が学生の時に受けた授業とだいたい同じ流れであり、
私には親しみのある説明の仕方である。
砂川氏が本書で指摘しているように、
クラウジウスによる説明の仕方であり、
ほとんどの熱力学の本は
クラウジウスの議論を踏襲した説明となっている。
この本では、クラウジウスの議論で砂川氏が分かりにくいと感じた
箇所が改善されている。
また、演習問題には丁寧な解答がついている。
本書の特色としては
カロリック説と熱力学の対立の歴史をたどりながら説明していることがあげられる。
科学の形成の一例を熱力学の歴史を通して教えることは非常に教育的であると思う一方、
熱力学を学ぶことが目的だとすると歴史は煩わしいとも思う。
また、著者は身近なたとえ話で熱力学と統計力学を説明しようと
試みているが、たとえ話は個人的には好きではない。
読者を男子学生に限定したような例え話は、
黒塗りが必要かもしれない。
全微分や偏微分に慣れていない大学一年生には難しいが
2年生は読めるだろう。
2022年6月7日火曜日
2022年6月6日月曜日
2022年6月5日日曜日
2022年6月4日土曜日
2022年6月3日金曜日
2022年6月2日木曜日
齊藤村上「スピン流とトポロジカル絶縁体」を眺め終えた
齊藤 英治, 村上 修一「スピン流とトポロジカル絶縁体」2014年、共立出版
を眺め終えた。
とてもいい本である。スピン流とトポロジカル絶縁体について解説している。本書の記述の仕方は、簡潔でありながら、深い洞察を含んでおり、物理を解説する文章として最高レベルに上手だと思う。私が学生の時にこの本を読んでいたら、物性分野を志していたかもしれない。
私は物性のことをほとんど勉強したことがなく、つかみどころがない巨大な何か、という漠然とした好ましくないイメージを十数年間持っていたが、この本は物性物理の多くが電子に関わる現象であるということを教えてくれ、日本物理学会がどのように物理学を領域分けしているのか、私に悟らせた。
私にとって、この本の内容はかなりアドバンスである。スピン〇〇という物理現象がたくさん紹介されるが、私は物性分野で基本的な○○自体を知らず、まず〇〇の勉強をしないといけないということを、この本は教えてくれた。私は最近、本書を含めてアドバンスな物性の本やキッテルの教科書を眺めたが、私が物性を理解するために何をすべきか明確に分かった。私はAshcroft and Merminを丁寧に読むべきである。
量子力学、統計力学、物性の導入を終えた大学4年生が読むとちょうどいいレベルであろう。