2022年6月15日水曜日

森本「ある女性数学者の回想」を読んだ

森本治枝「ある女性数学者の回想」1995年、九州大学出版会
を読んだ。

森本治枝(もりもと はるえ、1902年12月6日大阪生ー1995年3月12日東京没)は1927年に東北大学理学部数学科卒業後、女学校、専門学校などで数学を教えた。森本治枝氏は数学セミナーなどへの寄稿もある。夫は数学者の森本(旧姓は深沢)清吾、子に森本治樹(数学者、元大阪市立大学教授)、森本雅樹(天文学者、元鹿児島大学教授)、森本芳樹(経済史学者、元九州大学教授)、森本英樹(生物物理学者、元大阪大学助教授)がいる。

本書は自伝的要素が強い回想録である。20世紀前半の富裕層の生活、女性から見た東北大学での学生生活、数学科の雰囲気、数学教師としての生活、多くの人に支えられた当時の夫婦共働きによる子育てと居住地に関わる困難、戦争中の困難など非常に興味深い内容である。書かれたのが森本治枝氏の最晩年であり、断片的な文章ではあるが、十分に読む価値があると思う。

あとがきとして森本芳樹氏の文章があり、どのように本が作られたか示しているので、まず、あとがきを知っておく必要があるだろう。

この本を読んだ後にもっと本格的に森本氏について知るためには以下の本に進むのがよさそうである。私には時間がなくて断片的にしか読めていない。
理学博士森本清吾論文集
森本清吾論文集刊行会 編 森本清吾論文集刊行会, 1955