野本定金佐藤ら「恒星」を眺めた。
一時間で279ページまで進んだ。
福井康雄・犬塚修一郎・大西利和・中井直正・舞原俊憲・水野亮(編)「星間物質と星形成(シリーズ現代の天文学6)」2008年、日本評論社
を眺め終えた。
福井康雄・犬塚修一郎・大西利和・中井直正・舞原俊憲・水野亮(編)「星間物質と星形成(シリーズ現代の天文学6)」2008年、日本評論社
を眺め始めた。
一時間で38ページまで進んだ。
祖父江義明・有本信雄・家正則(編)「銀河II 銀河系(シリーズ現代の天文学5)」2007年、日本評論社
を眺め終えた。
銀河Iと同様に私には絶望的に難しい。
執筆者も20名ほどいる。
このあまりにも多い執筆者は銀河系の研究を一人の人間で理解できることが
不可能であることを示しているかもしれない。
物理の人はいつ読んでも難しいと思うので、いつ読んでも構わないと思う。
古味直志「ニセコイ 25巻」2016年、集英社
を読んだ。
週刊少年ジャンプで連載されていたラブコメ漫画。内容に目新しいことはない。もっと言えば、一巻を読めば、誰でも結末を正確に言い当てることができる。しかし、少女漫画の愛読者と比べれば、週刊少年ジャンプの読者はラブコメを熱心には読まないだろうから、これくらいの陳腐さが心地よい。
この作品で目を引くのは何と言っても絵のうまさである。少ない線量で、漫画らしいタッチで、女の子はとてもかわいらしく書かれている。線量の少なさは激務で知られる週刊誌連載の工夫であろうが、作者のセンスが良いのか、作品全体を非常に読みやすくしてしている。特にメインヒロインは金髪で、ベタもトーンもなく、紙面上では白く透き通るような美しさである。あまりにも白過ぎるためか、べた塗された奇妙なリボンをワンポイントアイテムとして付けている。
単行本の表紙も良く書けている。普通の絵との違いから生じるカラー絵特有の違和感も古味氏のカラー絵からは感じられない。
単行本の作者コメントを順を追って読んでいくと、最初の方では、かわいい女の子を書くこともカラー絵も苦手であるとコメントがある。私は古味氏の絵とカラー絵をとても心地良いと感じているので、この作者コメントにある種の恐怖を感じた。しばらくすると、作者の苦手意識は解消されたとのコメントがあり、私は安堵した。
また、この作品からは、千葉県のYさんという英雄が誕生したことは特筆すべきことである。
この作品は結末ではなく、時間経過を楽しむ作品である。学生らは同じ学校で有限の時間を一緒に過ごす。きっと、作中の時期こそが彼らにとっての青春なのだろう。
25巻は最終巻である。この作品では時間の蓄積が重要であり、意味のある完結にはある程度の時間が必要である。それでも25巻は長すぎる。作品を間延びさせたエピソードを削って、20巻程度に収めるべきだったと思う。
作中で、10年前の約束や鍵と錠の話題が出てきて、正直どうでもいいなあ、この話題は削れないのかなと思いながら読んでいたが、終盤では、これらの話題が結末の輪郭をくっきりと鮮明にしたので、私は自分の無能さを恥ずかしく思うのと同時に作者の力量に感心した。
谷口義明・岡村定矩・祖父江義明(編)「銀河I 銀河と宇宙の階層構造(シリーズ現代の天文学4)」2007年、日本評論社
を眺め終えた。
インターネットでよく見かける物理の研究者のキャリアパスの助言では、以下のように書かれていることが多い。(私は卒研が理論物理であったために、以下の話は理論の場合に限る。)
大学院で博士号を取る→国内、または海外の大学、研究所などで博士研究員として働く→場所を変えて博士研究員を2,3回やる→運が良ければ、大学などの教員に収まる。
私も上記のキャリアパスを信じていたが、物理の研究者のウェブサイトのネットサーフィンを長年していると、例外が多いことに気が付いた。
ネットサーフィンから得た情報をまとめると
「素粒子物理学、宇宙物理学で優秀で運がいい人は博士号取得後5、6年で任期がない職(助教や講師)になることが一つの目安となっている。」
「それ以外の物理の分野では、優秀な人は博士号取得後0~2年で任期がない職になることが一つの目安となっている。」
「素粒子物理学、宇宙物理学で、優秀でも運が普通な人は大学教員になる前に博士研究員として過ごす時期が異常に長い。」
「2022年現在、女性限定公募が多く出ており、素粒子物理学、宇宙物理学分野でも、博士号取得後0~2年で任期がない職になるケースが多数出てきている。」
少し詳細を書くと以下のようになる。
(い)素粒子物理学と宇宙物理学はマラソンで、それ以外の物理の分野は短距離走に例えることができる。短距離走が苦手で、マラソンでないと勝てない人もいるので、これはこれで良いんじゃないかと個人的に思う。しかし、20年(博士研究員10年+任期付き助教10年)耐久マラソンが普通になってくると日本の素粒子物理学と宇宙物理学に明るい未来はない。
(ろ)短距離走の場合は、大学院にいる間に大学教員椅子取りゲームのほぼ決着がつく。修士課程と博士課程の学生が増え、多くの学生が学位取得と共に就職することを除けば、昔とほとんど変わっていないように見える。
(は)ネットに書かれている先達によるキャリアパスの助言は、分野がちょっと変わると的外れなので、たとえ真実であっても、その適応範囲は非常に狭いことを肝に銘じておくべきである。
(に)インターネットで見かけるキャリアパスは素粒子理論と宇宙物理が多い。自分の分野の将来を憂いて、善意で書かれているのだと思うが、結果として、非常に強いバイアスを持つ情報をインターネットにさらしている。
(ほ)素粒子物理学や宇宙物理学と一言でいっても、かなりの広い分野を含んでいるため、さらに細分化され、状況はまちまち。
(へ)高校から物理を選択する時点で女性は少ない。物理系学科では、女性はさらに少なくなるため、学生時代は男性には分からない障害がたくさんあるかもしれない。でも物理が好きな女性よ、物理を諦めないで!任期のない職を見つけるのが難しいという情報は男性の場合である。最近は女性限定公募が増えたため、素粒子物理学や宇宙物理学でもポスドクや任期付き助教を経ずに(、または一回だけのポスドクを経て)任期なしの助教になるケースも多い!
(と)物理学科でも一般教養の学科でもなく、隣接分野の学科に着任する人がいる。例えば、数理的傾向が強めの物理の人が数学科に着任するケースがぼちぼちある。そうすると、その学生は数学科出身で数理的な傾向の強い物理を研究し、物理学会に所属するが、素粒子物理学や宇宙物理学のキャリアパスというよりも数学者のキャリアパスに従うことになる。数学者のキャリアパスはポスドクを0~1回経験して助教になるケースが多いようである。
興味ある分野が短距離走かマラソンか知りたい場合は、主要な大学や研究所の助教と准教授の経歴をできるだけ多く調べるとよい。助教や准教授が博士研究員をしていたか、していた場合はその期間は何年か、任期付きの助教を何度か経験していたか、などの経歴を調べるとよい。(着任が10年以上前の人の情報は古くて役に立たないと思った方が良い。)
結論を述べる。ネットでは、研究大学の良いポストを得たと自認した人が、彼らの言う、研究大学の良いポストをいかにして得るべきか、助言をしている。私はこれらの助言を娯楽としてよく読むが、読んだ後は必ず嘔吐したくなるような不快さを感じる。彼らが特殊な例を不当に一般化しているのを見て、平静を耐えられないからであろう。