齊藤 英治, 村上 修一「スピン流とトポロジカル絶縁体」2014年、共立出版
を眺め終えた。
とてもいい本である。スピン流とトポロジカル絶縁体について解説している。本書の記述の仕方は、簡潔でありながら、深い洞察を含んでおり、物理を解説する文章として最高レベルに上手だと思う。私が学生の時にこの本を読んでいたら、物性分野を志していたかもしれない。
私は物性のことをほとんど勉強したことがなく、つかみどころがない巨大な何か、という漠然とした好ましくないイメージを十数年間持っていたが、この本は物性物理の多くが電子に関わる現象であるということを教えてくれ、日本物理学会がどのように物理学を領域分けしているのか、私に悟らせた。
私にとって、この本の内容はかなりアドバンスである。スピン〇〇という物理現象がたくさん紹介されるが、私は物性分野で基本的な○○自体を知らず、まず〇〇の勉強をしないといけないということを、この本は教えてくれた。私は最近、本書を含めてアドバンスな物性の本やキッテルの教科書を眺めたが、私が物性を理解するために何をすべきか明確に分かった。私はAshcroft and Merminを丁寧に読むべきである。
量子力学、統計力学、物性の導入を終えた大学4年生が読むとちょうどいいレベルであろう。