齊藤 英治, 村上 修一「スピン流とトポロジカル絶縁体」2014年、共立出版
を眺め始めた。
一時間で48ページまで進んだ。
田中信夫「走査透過電子顕微鏡の物理」共立出版、2018年
を眺め終えた。
著者の田中氏は物理の専門家ではなく顕微鏡の専門家らしい。
この本では顕微鏡がメインディッシュで、物理は添え物である。
かなり工学っぽい雰囲気がする。
実験物理の人が書いた物理の教科書のように
理論物理の人にとっては、辛い。
「~です。~ます。」で書かれている。
物理の本ではほとんど見たことがないので、
やりは、物理の本ではないのであろう。
田中氏は名古屋大学の応用物理学科出身らしいが、
私はあまり応用物理というものが存在していることを強く意識して生きてこなかったので、本書から色々と学ぶことがあった。
この本のまえがきには高校物理の物理を仮定し、
大学一年生でも理解できると書いてあるが、
マクスウェル方程式もシュレディンガー方程式も当たり前のように出てくるし
特殊相対論も普通に出てくる。
読んでいると10ページくらいで
「これが応用物理学科のやり方か。」という感想を持つ。
理論物理の人には読めない。
この本を読んでも計算はできるようにならないが、
定番の物理のどの本を読めばいいかは書いてある。
つまり、この本は「走査透過電子顕微鏡の物理」というタイトルがついているが
物理の説明は他の物理の本に丸投げしている。
また、参考図書には田中氏の著作がかなり派手に宣伝されている。
「これが応用物理学科のやり方か。ぐはっ。」
という感想を持ちながら、私は力尽きた。
物理学科の人で、顕微鏡に興味ある人は、
大学3年の量子力学の前半
(シュレディンガー方程式の簡単な解き方を学んだ当たりまで)
を終えたら、この本を読むとちょうどいいと思う。
著者の顕微鏡の知識はなかなかのものなので、
難しいことは読み飛ばして、
読めるところだけ
つまんで読むと十分に面白い。
長谷川修司「見えないものをみる ナノワールドと量子力学」2008年、東京大学出版会
を眺め終えた。
とても良い本である。(私は物性物理の全体像を全然把握できていないが、)本書に書かれている内容は表面物理やナノ物理と言われる分野らしい。基礎物理の理解を目的とした実験物理学者が書いた本である。当時の最新の研究と基礎が、主に言葉や図で説明されている。
本書を読んでも計算は出来るようにならない。しかし、理論物理の人も寝っ転がって読む分には、自分の研究や勉強の邪魔にならないと思うので、純粋な楽しみのために読んでもいいと思う。理論の人も楽しめるだろう。
この本は量子力学入門を終えた大学4年生が読む本である。(一流の大学では、意欲ある一年生が並の大学の3年生レベルの量子力学の講義が選択できるようになっているらしいので、量子力学の入門レベルを終えている人はもっと早く読めばよいと思う。)この手の本は、研究と3年生までで学んだことのギャップが大きくて4年生が実際に読むにはかなり苦しいが、この本はギャップが少なく、読みやすい。はじめとおわりに量子力学に関する物理実験をする3年生との対話が書かれている。おそらく著者はこの本を東大物理学科の3年生のために書いたに違いない。
著者の長谷川氏は量子力学の実験で有名な外村彰氏の実験グループに所属していたこともある。外村氏の量子力学の本が好きな人は、この本も気に入ると思う。長谷川氏と言えば、この本やトポロジカル物性に関するブルーバックスの著者として私は認識していた。最近では、物理学会の偉い人というイメージが新たに付きつつある。
井上一・小山勝二・高橋忠幸・水本好彦(編)「宇宙の観測III 高エネルギー天文学(シリーズ現代の天文学17)」2008年、日本評論社
を眺め終えた。
11名の著者によって書かれている。
X線、ガンマ線、宇宙線、ニュートリノ、重力波について書かれている。
重力波の直接観測前の本なので、
重力波のことは知識のアップデートが必要である。
4年生で高エネルギーの天文に配属されたら読み始める本。
それ以外の人でも高エネルギーの天文に興味が出たときに読んでみたらよいと思う。
井上一・小山勝二・高橋忠幸・水本好彦(編)「宇宙の観測III 高エネルギー天文学(シリーズ現代の天文学17)」2008年、日本評論社
を眺め始めた。
一時間で40ページまで進んだ。
中井直正・坪井昌人・福井康雄(編)「宇宙の観測II 電波天文学(シリーズ現代の天文学16)」2009年、日本評論社
を眺め終えた。
11名の著者によって書かれている。
1・2章は理論の人でも十分に役に立つ電波天文学の概要と放射機構などの物理の話。
3章以降は観測装置の話。理論の人には正直厳しい。
しかし、電波天文学に関わる人は理論の人も重要なことは重要なことは理解しないといけないかもしれない。
卒研配属で電場天文学に関わる研究をする人は3年生の終わりぐらいから読み始めるといいかもしれない。
ちょうど、天の川銀河の中心にあるブラックホールの周りのガスの影の画像が発表された。ガスのオレンジ色は誰の趣味でつけられてつけられているのだろうか。みどり色とか不自然な色にした方が可視光の観測と誤解されなくて良いかもしれない。
中井直正・坪井昌人・福井康雄(編)「宇宙の観測II 電波天文学(シリーズ現代の天文学16)」2009年、日本評論社
を眺め始めた。
一時間で43ページまで進んだ。
腰原伸也・Tadeusz Michal Luty「光誘起構造相転移 光が拓く新たな物質科学」共立出版、2016年
を眺め終えた。
数式は文章で説明されているが、内容はかなり専門的である。日本物理学会誌とほとんど同じスタイルである、と書けば伝わるだろうか。私がこれまで勉強したことない分野なので、ほとんど内容は分からなかった。大学4年生以降のこの分野に興味がある学生が読めばよいと思う。
謝辞で書かれている人が腰原氏関連と思われるものばかりなので、Luty氏は本当に執筆しているのだろうかと疑問に思う。
腰原伸也・Tadeusz Michal Luty「光誘起構造相転移 光が拓く新たな物質科学」共立出版、2016年
を眺め始めた。
一時間で58ページまで進んだ。
齋藤理一郎「フラーレン・ナノチューブ・グラフェンの科学 ナノカーボンの世界」、2015年、共立出版
を眺め終えた。
脚注が多く、本文も著者の言いたいことが書いてある本である。発見にまつわるあれこれ、科学にまつわるあれこれ、大学教育にまつわるあれこれなどが詰め込まれている。大学の雑談が多い講義のようである。雑談の多くは、私にはほとんど役に立ちそうもないし、怪しげな記述や公平性に欠ける記述も多く見られる。雑談の中で「物理の人はAしか知らない。化学の人はAは知らないがBは知っている。工学の人はBを知らないが、Aが重要であることは辛うじて知っているし、Cについては詳しい。共同研究では、分野のこれらの壁を乗り越えないといけない。」ということが書かれている。これは私が好きな記述であった。同じ困難が素粒子と物性物理の共同研究でも起きているということを何度か聞いたことがある。
本題はナノカーボンの物理である。しかし、その周辺のことも多く書かれている。雑談を苦に感じなければ、なかなか楽しめる本であると思う。私は卒研でマイナー分野の理論の研究をしていたので、本書で書かれているナノカーボンの研究共同体は目がまわりそうな巨大さであるように感じた。私は脚注の多い本はかなり苦手である。
6章は数式が多く、物性を勉強したことがないと数式を追えないと思う。他の章は数式を使わないで説明されている。本文の難易度は後ろに行くほど専門的で難しくなっていく。
特に学年関係なく読めばいいと思う。例えば、一年生では途中で振り落とされると思うが、数年後に授業や別の本で量子力学や物性をある程度勉強した後に読み直せばよいと思う。
齋藤理一郎「フラーレン・ナノチューブ・グラフェンの科学 ナノカーボンの世界」、2015年、共立出版
を眺め始めた。
一時間で44ページまで進んだ。
西森秀稔・大関真之「量子アニ-リングの基礎」2018年、共立出版
を眺め終えた。
量子アニ-リングについての物理の本。
京都大学や東京大学の大学院での集中講義に基づいているとのことで、内容は易しくない。私にはなじみのない分野なので、ほとんど何も理解できなかった。
この分野に興味があり、
物理を一通り勉強した大学4年生以降の
学生が読むのに適していると思われる。