岡村他「人類の住む宇宙」を一時間眺めた。
150ページまで進んだ。
柴田大「一般相対論の世界を探る」2007年、東京大学出版会
を眺め終えた。
中性子星連星の合体や
ブラックホール連星の合体による重力波放射を
いくつかのグループが計算できるようになった時期の
成果をまとめた重力波と数値相対論の教科書。
1章はコンパクト天体についての優れたレビューになっている。
2章は重力波天文学の短いレビューであり、
3章では一般相対論の教科書で見るような重力波の理論が紹介される。
4章では主に重力波発生のシナリオを紹介し、データ解析にも触れている。
5章から7章で数値相対論のための定式化、テクニック、シミュレーション結果が述べられる。
一般相対論の教科書を一冊読んだことがあり、
重力波と数値相対論について知りたい読者は
スムーズに読むことができると思う。
一般相対論を習ったことがある
大学4年生ならば読むことができると思う。
後半からテーマは中性子星の連星に絞られる。
これは著者の柴田氏の研究に沿ったものだからであろう。
本書の後の柴田氏の研究は
柴田氏や共同研究者が書いた記事を探せば
日本語で読むこともできる。
嶺重慎「ブラックホール天文学」、2016年、日本評論社
を眺め終えた。
本書では天体としてのブラックホールを議論しているが、
主役はブラックホールの周りで光る降着円盤である。
アインシュタイン方程式のブラックホール解の性質を調べるのではなく、
ブラックホール周辺のガスの運動方程式の解の性質を調べる
アプローチが取られている。
私には天文学の徹底した教育を受けていないために
天文学とはかくあるべしという心構えが身についていないが
いかにも天文学っぽい話の進め方な気がする。
この本を読むためには
・大学3年生までの物理
・半年程度の一般相対論の入門的内容
・本書で触れられる程度のKerr解の性質
・本書で触れられる程度の天文学の素養
を知っておくとよい。
大学4年生から読み始められると思う。
佐々木節「一般相対論」産業図書,1996年,
を読み終えた。
黒田和明氏による物理学会誌での書評へのリンク
佐々木 節, 一般相対論, 産業図書, 東京, 1996, vi+188p., 21×15cm, 2,575円 (物理学教科書シリーズ) [学部向]
を貼っておく。
著者の佐々木節氏は相対論的宇宙論の論文で有名な研究者である。
他の一般相対論の入門書と同様、
3,4年生で読めるレベルの本である。
数理物理的な書き方ではなく
標準的な理論物理の学生が好む方で書かれている。
扱っている内容と説明の順番は標準的であり、
最初の数章で数学的準備をした後に
アインシュタイン方程式が出てきて、
物理を考える構成になっている。
本書に限らず、
多くの一般相対論の標準的な教科書
にあてはまることだが
物理に興味のある初学者は
物理にたどり着く前に撃沈する可能性が高い。
本書で扱われている発展的な話題を挙げると
定曲率空間のトーラス的コンパクト化や
カントフスキー・ザックス型宇宙
などがある。
これらは専門家は知っておくべきことなのかもしれないが、
他の一般相対論の入門書と比べると
ディープな話題である。
Kerr解やペンローズ図は出てこない。
この本の優れたところは、
基本的な内容と発展的な内容が
コンパクトにまとまっていることである。
初学者にとって本書の厄介なポイントは
標準的な内容を説明している最中に
発展的な内容がさりげなく一緒に説明されることである。
初学者は撃沈するかもしれない。