柴田大「一般相対論の世界を探る」2007年、東京大学出版会
を眺め終えた。
中性子星連星の合体や
ブラックホール連星の合体による重力波放射を
いくつかのグループが計算できるようになった時期の
成果をまとめた重力波と数値相対論の教科書。
1章はコンパクト天体についての優れたレビューになっている。
2章は重力波天文学の短いレビューであり、
3章では一般相対論の教科書で見るような重力波の理論が紹介される。
4章では主に重力波発生のシナリオを紹介し、データ解析にも触れている。
5章から7章で数値相対論のための定式化、テクニック、シミュレーション結果が述べられる。
一般相対論の教科書を一冊読んだことがあり、
重力波と数値相対論について知りたい読者は
スムーズに読むことができると思う。
一般相対論を習ったことがある
大学4年生ならば読むことができると思う。
後半からテーマは中性子星の連星に絞られる。
これは著者の柴田氏の研究に沿ったものだからであろう。
本書の後の柴田氏の研究は
柴田氏や共同研究者が書いた記事を探せば
日本語で読むこともできる。