2024年7月30日火曜日

小嶌小出高橋「ブラックホール宇宙物理の基礎」を眺め終えた

小嶌康史、小出眞路、高橋労太「ブラックホール宇宙物理の基礎」日本評論社、2019年
を眺め終えた。

一般相対論を使ったブラックホールとその周辺についての基礎的なことをまとめた教科書。
重力波のことはほぼ書いていない。イベントホライズンテレスコープの観測結果が出る直前に出版されたので、この本には書かれていない。

この分野に参入したい学生が読むような教科書で、一般相対論に入門しておく必要がある。
このレベルの教科書にしては珍しく、本文中に例題がたくさんあったり、各章に演習問題がちゃんとあるので読者はかなり長い時間をかけてこの本と戦うことになる。多くの内容はこの本以外では(少なくとも邦書としては)本としてはまとまっていないと思われるので、この分野に詳しくなるには、この本を読むか、原著論文を読むしかかないと思われる。

内容はこの分野の理論研究の最前線という感じであり、この分野の研究者のコンセンサスがなんとなくわかるところは原著論文にはない良さだと思う。