大須賀健「ゼロからわかるブラックホール」 講談社, 2011年
を読んだ。
一般向けのブルーバックスではあるが、本書を理解するためには物理学科3年生程度の知識があると良い。著者の専門はブラックホール周りの降着円盤のシミュレーションである。そのため、ブラックホール周りの降着円盤について書かれた6章、7章、8章は数式を使った説明はないものの、専門書と同じ程度によく書けていると思う。もちろん、ブルーバックスなので分かりやすさを優先した記述はあると思う。正直に言って、著者の専門から離れた9章はない方が良いと思う。読みにくい9章はほぼ巻末にあるため、9章の存在は通読をそれほど妨げない。10章は残念ながらすでに古くなってしまっている。活動銀河核やブラックホールの降着円盤に詳しくない人や専門書を持っていない人は、本書を手元に置いて4章~8章を繰り返し読むことを強く薦められる程度には良書だと思う。