2022年4月15日金曜日

鳴沢「連星からみた宇宙 : 超新星からブラックホール、重力波まで」を読んだ

鳴沢真也「連星からみた宇宙 : 超新星からブラックホール、重力波まで」、講談社、 2020年
を読んだ。

天文学者である鳴沢真也氏によるブルーバックスである。タイトル「連星からみた宇宙」が本書の内容をよく表しているが、連星というものがありふれた星であり、天文学で重要であるのかということが非常に良く書かれている良書である。

重力波や元素合成についても書かれているが、そこの部分は本書のメインテーマではなく、著者の専門家から比較的離れているためか、記述もあっさりしている。なんといっても、最近の本でよく見かける内容であるためにその部分はあまり面白くない。しかし、それ以外の(7割程度の)部分は著者の専門性がいかんなく発揮されており、類書にはない非常に興味深い内容になっている。

私は単独な星の方が天文学において基本的な要素であり、連星はその応用的なものにすぎないと思っていたが、私は間違っていた。連星こそが天文学の発展に欠かせない重要な要素であるのだと思い知った。もっと早く本書を知っていれば、連星を敬遠したりしなかっただろう。これからは連星に敬意をこめて、単独の星のことを非連星と(心の中で)呼びたいと思う。