2022年3月15日火曜日

徳弘正也「新ジャングルの王者ターちゃん 20巻」を読んだ

徳弘正也「新ジャングルの王者ターちゃん 20巻」1995年

を読んだ。

週刊ジャンプで連載されていたギャグ、バトルマンガ。最終巻の20巻はターミネーター2のパロディ色が強いストーリ―となっている。人間によって動物が絶滅状態の未来の世界で、親友の犬を殺されて絶望した少年が昆虫人間などの兵器や宗教団体を作り、人間世界を滅ぼすための武力行使を始める。しかし、梁師範の50歳の息子が山から下りてきて超人的な戦闘能力で、ばったばったと昆虫人間をやっつける。追い詰められた少年は残った昆虫人間を連れて、タイムマシンで過去にいき、梁師範の生まれたばかりの赤子を殺そうとする。ターちゃんや梁師範らと昆虫人間の強さはほぼ互角で、勝負をする。ターちゃん、ペドロ、梁師範、アナベベは戦いの終盤で姿を現した少年と対話し、これからの50年間に起きる暗い現実を聞かされるが未来を守るために、それぞれの決意を新たにする。計画が失敗した少年はタイムマシンで未来に戻ったが、未来が変わっていることに腰を抜かす。

私にとって、20巻は希望を具現化したようなものであり、いつまでも私の心に残っている。具体的には(a)完全ノーマークだった田舎坊主が、救世主のごとく、超人的に活躍する。(b)直前までのシリアスな暗さを払拭する、底抜けに明るいギャグっぽい終わり方。(c)弟子のペドロが修行の成果を見せる。(d)アナベベも独自のやり方で戦いぬいて、成功する。などである。

連載当時から2000年ごろまで、マンガだけでなく様々なメディアで世界の終わりを扱った話(アルマゲドンなどのハリウッド映画だけでなく、FF7などのゲーム、恐怖の大王を扱ったテレビショーなどもあった)が日本だけではなく、世界的に異常に流行っていた。詳しくはないが、宗教的な理由であろう。本作の20巻はそれらの中では最高傑作のひとつと言ってよいと思う。

作品全体としては、シリアスな描写とかなり下品なギャグが折り重なった作品であるため、人によって評価はかなり割れるだろう。そのために、平均を取ると大したことのない作品だと評価されてしまうと思う。私も一読者として、この作品との付き合い方を今後も考えていきたいと思う。