辻哲夫編著「日本の物理学者」東海大学出版会、1995年
を読んだ。
1992年秋の日本物理学会の物理学史シンポジウム「日本の物理学者 大正・昭和前半期」のプロシーディングである。
辻哲夫「日本における物理学の自立」
田中節子「桑木或雄と日本の物理学」
廣川俊吉「石原純と日本の物理学」
吉田省子「土井不曇にみる「量子論」の解釈」
勝木渥「曽禰武 ー時代早過ぎた実験物理学者」
足助尚志「茅誠司におけるWeiss理論の受容過程」
松田久子「フランスにおける湯浅年子」
小川修三・廣川俊吉「坂田昌一における「物理学と方法」1」
仁科伸彦「仁科芳雄のこぼれ話」
が収められている。
足助氏の文章だけ数式だらけで、しかも私は物性や統計力学をほとんど知らないので、ほとんど分からなかった。それ以外はほとんど数式がなくて、読み物として楽しめた。松田氏の湯浅年子についての文章が一番興味深いと感じた。物理を知らない一般読者向けではなく、物理学史の研究者のプロシーディングなので、物理系の学科の大学4年生以上でないと楽しめないと思う。