サイモン・シン、(訳)青木薫 「フェルマーの最終定理」新潮社、2000年
を読んだ。
原書はSimon Singh「Fermat's Last Theorem」1997年である。世界的によく売れたそうである。一般向けの本は著者の経歴で本の傾向が判断できるので、まずシンの経歴を見た方が良いだろう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Simon_Singh
素粒子の加速器実験の研究で博士号を得て、インドの学校で数年教えたのちに、科学番組を作るようになったということで、素晴らしいバックグランドを持っていると思う。
それを踏まえてから本書に向き合ってみるとよい。シンは数学者ではないので、数学的な記述に期待してはいけない。そのような期待を抱く人は数学者が書いたものを読むべきである。本書はフェルマーの最終定理にまつわる数学者たちの物語である。その観点から本書を評価すると、非常によく書けていると思う。