2020年3月2日月曜日

佐藤勝彦「相対性理論」を読み終えた

佐藤勝彦「相対性理論」1996年、岩波書店
を読み終えた。

佐藤勝彦氏は宇宙物理や宇宙論の研究者。インフレーション理論の提唱者の一人として知られ、宇宙論や相対論に関する一般書も多く書いている。

ウィキペディアへリンクを貼っておく。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E8%97%A4%E5%8B%9D%E5%BD%A6_(%E7%89%A9%E7%90%86%E5%AD%A6%E8%80%85)
偉い人らしい。

本書は東京大学での一般相対性理論の入門的な講義をもとにした教科書。序盤で、特殊相対性理論を軽く復習し、数学的な道具を準備し、中盤で一般相対性理論の基本的な題材を解説し、終盤で著者の趣味でアドバンスなトピックを選ぶという、日本の一般相対性理論の入門的な教科書によくある構成。本書の終盤のアドバンスなトピックはインフレーション、ペンローズ図、カー解など。

導入される数学は易しめ。東京大学には天文学科があるので、もしかすると理論物理をそれほど好まないが一般相対性理論を天文学へ応用するために学んでいる学生への配慮かもしれない。

長いテンソル計算の途中式を省略していたり、演習問題の解説が不親切に感じられる箇所があったり、誤植もちらほらある点は、初学者にはつらい。しかし、数学的に難しい教科書に挫折するくらいならば、他の教科書の途中計算を参照しながら、本書を読めばよいと思う。

力学、解析力学、特殊相対性理論、電磁気学、流体力学への入門を終えた後に読むと良い。大学3年生なら読めると思う。