2021年8月15日日曜日

谷口和田「巨大ブラックホールと宇宙」を読んだ

谷口義明、和田桂一「巨大ブラックホールと宇宙」丸善出版、2012年
を読んだ。

天文学者である谷口氏と和田氏による活動銀河核や銀河中心ブラックホールの一般向け解説書。カラフルな絵や写真が本書の特徴であるが、大量の図のせいで本文は読みづらくなっている。全体的に、銀河中心ブラックホールや活動銀河核について、かなり専門的な内容が書かれているが、読者は専門家を想定していないらしく、中途半端な解説が多い。本書を読んで何かが腑に落ちるということはないだろうが、銀河中心ブラックホールや活動銀河核については天文学者がどのような問題意識を持っているのかを分野外の人間が探れるという意味では勉強になると思う。本書の内容を鑑みるに、一般向けではなくて、記述をちゃんとして専門書にすべきだったと思う。

なお、一章の一般相対論の解としてのブラックホールの説明のところには間違いが散見される。間違った記述をインターネットの世界に解き放ちたくないので、ここでは個別に指摘はしない。