平凡な物理系学科のカリキュラムは3年生の選択科目から破綻が見え始める。物性概論、素粒子概論、原子核概論とかいう感じ名前の授業では、量子力学や統計力学を一通り習っているという前提で授業が始まる。これらの授業は卒業研究が始まる前に、教授が自分の研究分野の概論を学生に宣伝する意味合いもあるのか、無理やりに3年の授業にぶち込まれているのだと思う。3年必修の量子力学や統計力学が終わっていない段階でそんな内容を理解できるわけない。学生が理解できなくても、学生が悪いわけではない。大学のカリキュラムに構造的な問題がある。用意されたカリキュラムに従って勉強している真面目な学生は消化不足を自覚しながら4年生になるわけだが、そのような学生は卒研で理論物理を選ぶと難易度が高すぎて詰む可能性が高い。理論の卒論の着地地点が絶望的に高く設定されているからである。修士の学生を2年間で修論を書ける段階までレベルを上げないといけないため、卒研生には絶望してもらうしかないのだろう。
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卒研配属が必修でない物理系学科もそれなりにあるらしいということに最近になって気が付いてしまった。どうせなので、研究室選択や専門分野を延長した方向でやりたいことを選択することの難易度って高いよねということをいずれ追記する。
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理論物理の卒研生にはどのような絶望が待っているのか。4年生では研究室に配属され、英語の専門書や論文を読む本格的なゼミ形式、あるいは輪講形式の授業が行われる。つまり、卒研生は手入れの行き届いていない不十分な武装でジャングルに放り出される。平凡な物理系学科のカリキュラムを信じてはいけない。物性にせよ、素粒子にせよ、卒業時に自分の卒研を理解するには、4年生の4月の時点でぺスキンを内容を一人で抵抗なくすらすら読み進められ、実際にある程度読んでいる程度の経験が必要だろう。(ぺスキンの新しい入門書が出てきてしまったので注意しておくが「ぺスキン」とはAn Michael E. Peskin、Daniel V. Schroeder「Introduction To Quantum Field Theory」のことである。場の量子論を使う理論物理の多くの分野で聖典のような扱いをされていた。)
物理に関しては、逆算して、量子力学と統計力学の入門的な教科書を2年生のうちに独習していることが望ましい。量子力学や統計力学で使う簡単な物理数学も2年生のうちに一通り勉強しておくべき。そして、3年生のうちに本格的な量子力学と統計力学、簡単な場の量子論、それらで使う物理数学などを独習するか自主的なゼミで勉強しておくことが卒研で自分の精神を守るために必要だと思う。数学はとりあえず物理を学びながら身に着けたもので十分だろう。数学は必要になったときに補強するしかない。
大学のカリキュラムの悪口を一方的に書いた。教授らにも言い分はあると思うけれどもそれは教える側の立場にならないとわからない。悪口を書きすぎたかもしれないので、一言付け加えておく。平凡な大学のカリキュラムは卒研で実験を選択する学生にとっては3年修了時に最低限必要な物理を学べる悪くないカリキュラムかもしれない。(私の卒研は理論物理だったので、本当のところは私には分からない。3年の実験でもフェルミ面に関する実験を授業で習う数か月前にやらされて良心的な実験レポートを書くことは難しかったので、実験でも難易度は高いのかもしれない。)
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理論物理の卒研生にはどのような絶望が待っているのか。4年生では研究室に配属され、英語の専門書や論文を読む本格的なゼミ形式、あるいは輪講形式の授業が行われる。つまり、卒研生は手入れの行き届いていない不十分な武装でジャングルに放り出される。平凡な物理系学科のカリキュラムを信じてはいけない。物性にせよ、素粒子にせよ、卒業時に自分の卒研を理解するには、4年生の4月の時点でぺスキンを内容を一人で抵抗なくすらすら読み進められ、実際にある程度読んでいる程度の経験が必要だろう。(ぺスキンの新しい入門書が出てきてしまったので注意しておくが「ぺスキン」とはAn Michael E. Peskin、Daniel V. Schroeder「Introduction To Quantum Field Theory」のことである。場の量子論を使う理論物理の多くの分野で聖典のような扱いをされていた。)
卒研は始まって、英語の専門書や論文が理解できないときに、物理が分からないのか、数学が分からないのか、英語が分からないのか、説明の論理が分からないのか、自分で判断できない状態に陥ると非常につらい。英語と説明の論理が分からないという選択肢はなるべく卒研以前に潰しておきたい。3年生までの間に適当に選んだ洋書の教科書を読んでみることを薦める。読むといろいろな発見があるだろう。まず、日本出身の著者が書いた物理の教科書と説明の論理構成が違うことに気が付くだろう。大切な結論を数ページかけて最初に説明し、その後にその結論に至る道を数十ページかけて説明するタイプの洋書の物理の教科書は多い。和書のエンジニアの教科書でも、応用が優先されるので、このタイプは多い気がする。日本出身の著者が好む淡々した記述で最後に結論を持ってくる教科書ばかりを好んで読んできた学生はゼミで慣れない論理構成の洋書を読まされると慣れるまでは非常につらいだろう。翻訳書を読めば論理構成には慣れることができるだろうが、英語の物理の本や論文を読んでおくことを強く勧める。英語の物理の文献を読んでおけば、英字新聞や英語の小説を読むために要求される込み入った技術や単語はほとんど必要ないことにも気が付くだろう。英字新聞や英語の小説を読むことは、学生を教養豊かにすることには非常に役立つかもしれないが、卒研ゼミでの英語の文献を読む目的には過剰な重装備ともいえる。英語の物理の文献を読むための技術は物理の文献を読みながら身につければよい。これらのことはちょっとしたことにすぎないが、卒研に入る前に体験して理解しておかないと躓く可能性は格段に増える。
物理に関しては、逆算して、量子力学と統計力学の入門的な教科書を2年生のうちに独習していることが望ましい。量子力学や統計力学で使う簡単な物理数学も2年生のうちに一通り勉強しておくべき。そして、3年生のうちに本格的な量子力学と統計力学、簡単な場の量子論、それらで使う物理数学などを独習するか自主的なゼミで勉強しておくことが卒研で自分の精神を守るために必要だと思う。数学はとりあえず物理を学びながら身に着けたもので十分だろう。数学は必要になったときに補強するしかない。
大学のカリキュラムの悪口を一方的に書いた。教授らにも言い分はあると思うけれどもそれは教える側の立場にならないとわからない。悪口を書きすぎたかもしれないので、一言付け加えておく。平凡な大学のカリキュラムは卒研で実験を選択する学生にとっては3年修了時に最低限必要な物理を学べる悪くないカリキュラムかもしれない。(私の卒研は理論物理だったので、本当のところは私には分からない。3年の実験でもフェルミ面に関する実験を授業で習う数か月前にやらされて良心的な実験レポートを書くことは難しかったので、実験でも難易度は高いのかもしれない。)