2019年3月25日月曜日

三流大学物理系学科で卒研を理論物理にした場合の難易度が高すぎる件

三流大学物理系学科で卒研を理論物理にした場合の難易度が高すぎる件についての私見。三流大学物理系学科は量子力学や統計力学を3年生の時に初めて習う平凡な物理系学科という意味だ。

よくあるカリキュラムは3年生の選択科目から破綻が見え始める。物性概論、素粒子概論、原子核概論とかいう感じ名前の授業では、量子力学や統計力学を一通り習っているという前提で授業が始まる。これらの授業は卒業研究が始まる前に、教授が自分の研究分野の概論を
学生に宣伝する意味合いもあるので、無理やりに3年の授業にぶち込まれているのだと思う。3年必修の量子力学や統計力学が終わっていない段階でそんな内容を理解できるわけない。

学生が理解できなくても、学生が悪いわけではない。大学のカリキュラムに構造的な問題がある。3年の実験でもフェルミ面に関する実験を授業で習う数か月前にやらされたりする。良心的な実験レポートを書くことは難しい。

卒研で理論物理をやったので、老婆心から言わせてもらうと平凡なカリキュラムに従って、卒研で理論物理を選ぶと難易度が高すぎて多くの場合で詰むことになる。

卒研で理論物理を選択することを考えると多くの大学での物理系の学科のカリキュラムは明らかに破綻している。特に4年の後半で卒論の着地地点を考え始めるときにはひどいことになる。

4年生では研究室に配属されたり、本格的なゼミ形式、あるいは輪講形式の授業が行われる。研究室やゼミを心地よく感じる人もいれば、ジャングルのようなリラックスできない場所だと感じる人もいるだろう。卒研や理論物理の本格的なゼミを始めるために自分を自分で守るだけの最低限の力を身につけておく必要がある。

物性にせよ、素粒子にせよ、理論物理学での卒研のテーマを本当に理解するには、4年生の4月の時点でぺスキンを、一人で抵抗なく読み進められる程度の知識があるといい。

逆算して、量子力学と統計力学の入門的な教科書を2年生のうちに独習していることが望ましい。量子力学や統計力学で使う簡単な物理数学も2年生のうちに一通り勉強しておくべき。そして、3年生のうちに本格的な量子力学と統計力学、簡単な場の量子論、それらで使う物理数学などを独習するか自主的なゼミで勉強しておくことが卒研で自分の精神を守るために必要だと思う。

大学のカリキュラムの悪口を一方的に書いた。教授らにも言い分はあると思うけれどもそれは教える側の立場にならないとわからない。悪口を書きすぎたかもしれないので、一言付け加えておく。平凡な大学のカリキュラムは卒研で実験を選択する学生にとっては3年修了時に最低限必要な物理を学べる悪くないカリキュラムかもしれない。(私の卒研は理論物理だったので、本当のところは私には分からない。)

(ちなみに「ぺスキン」と呼ばれるぺスキンらのあの本は多くの分野で聖典のような扱いをされていた。私も信者の一人。)