2026年1月15日木曜日

益川「素粒子はおもしろい」を読んだ

益川敏英「素粒子はおもしろい」岩波書店、2011年
を読んだ。
岩波ジュニア新書の一冊。著者は素粒子理論の専門家でノーベル物理学賞の受賞者でもある。読んでみるとすぐに気が付くことであるが、益川氏による記述は半分くらいであり、残りの半分は専門用語や人物名の説明である。非常に多くの図や表は様々な一般書からの転載やあまり関係のない写真もたくさん乗っけられている。(ただし、益川氏と猫が一緒に写った写真は個人的にとても良いと思う。これは編集者のチョイスなのだろうか。)益川氏の本は売れるだろうから、出版社はなりふり構わず出版したのだろう。編集者に加えられた用語説明や表、図は読んでいて非常に邪魔で、多大なるストレスを感じる。巻末の人物の解説もほとんど無意味な解説である。この本に関して、出版社の仕事は非常に悪く、悪徳業者のようだと感じた。このような本しか作れないのならば、読者の本離れが加速しても仕方がないと思う。

編集者によって加えられた邪魔な用語の解説と表、図、巻末の人物の解説はすべて取っ払って、半分のページ数の薄い本として再出版すべきだと思う。本文と益川氏と猫の素敵な写真だけに注目すれば、多くの面白い思い出話と大学で量子力学を修めた物理系学科を卒業した人にとっては分かりやすい素粒子の話は一読に値する。7章は開明中学・高校での講演となっている。岩波ジュニア新書そのために他の章との接続が少し悪い。また、他の章も様々な文章をつなぎ合わせたのかもしれないが、同じ内容を何度か繰り返し説明しているが、それほど邪魔な繰り返しではないと思うが、読んでいて迷子になったような感覚にはなる。また、益川氏は科学とは実験によって検証されるものであるということを強調している。益川氏が仕事をした後に、素粒子物理の幸せな時期は終わり、素粒子理論でも超弦理論のような実験とあまり関係のない研究しかしない専門家が大量に生まれたので、耳が痛いと思う素粒子理論の専門家もいるだろう。

それにしても本書に関しては出版社の仕事ぶりだけが残念である。