著者の和南城さんは本著の出版時にはマックス・プランク重力物理学研究所シニア研究員であるが、それ以前の職場である上智大学での文系の学生に行われた授業に基づいている。元素がどのように合成されたのかがバランスよく解説されている。出版時期は中性子星合体の初検出直後なので、当時の最新の研究が書かれている。
本書では数式は一つだけ登場し他の数式は排除されている。しかし内容は易しくなく、理解するためには何度も読み返す必要があるだろう。(大学の授業とはそういうものであるべきである。) まず「はじめに」を読み、それから「おわりに」を読むと良い。そうすれば本文途中で脱落する確率はかなり減るし、読者にとって本書は繰り返し読むに値する特別な本となるだろう。
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