2021年11月15日月曜日

岡「銀河の中心に潜むもの ブラックホールと重力波の謎に挑む」を読んだ

岡朋治「銀河の中心に潜むもの ブラックホールと重力波の謎に挑む」、2018年、慶応義塾大学出版会
を読んだ。

ブラックホールの研究をしている電波天文学の専門家である岡朋治氏による自身の研究を紹介した本である。本書はブラックホールシャドウの観測の公表前、重力波の観測とその研究へのノーベル賞直後であるためか、サブタイトルに重力波も入っている。しかし本文の重力波に関する記述は非常にお粗末であるため、サブタイトル詐欺である。

ブラックホールの研究をしている電波天文学の専門家らしい内容が詰まっている。悪い本ではない。著者は優しい説明をするつもりはないようで、入門書としては機能しないだろう。裏話が多すぎるし、説明は雑すぎるために、専門書とも言えない。しかし、この分野に興味がある大学3、4年生と大学院生のための良い副読本にはなるだろう。