2019年1月15日火曜日

藤原正彦「若き数学者のアメリカ」を読んだ

藤原正彦「若き数学者のアメリカ」(新潮社、1977年)、(新潮文庫、新潮社、1981年)を読んだ。

1972年にミシガン大学研究員として渡米し、コロラド大学の助教授の職を経た後、1975年に帰国するまでのエッセイ。

数学者が書いたとは思えない、砕け過ぎず、かつ硬すぎない読みやすい文章で、数学研究生活、アメリカでの生活、数学者の就活事情、大学内の政治、うつ、駆け出しの教員のあれこれなど、興味深い話題が語られる。日本とアメリカでの教育の重点の置き方が違うということは心に刻んでおいてよいだろう。読む人によって色々な楽しみ方が出来そうな本。この著者は歳をとるにつれ「国家の品格」とか少しづつ年寄りじみたことを書くようになる。この本からも「国家の品格」につながる年寄り臭さを少しは感じるけれども、全体的には大変若々しい印象を受ける。面白い。

著者はこの本で第26回(1978年)日本エッセイスト・クラブ賞を受賞した。