真貝寿明「ブラックホール・膨張宇宙・重力波」光文社新書、 2015年
を読んだ。
1章から3章までで、アインシュタインの経歴、ニュートン力学、特殊相対論と一般相対論の解説などで100ページ。4章はブラックホールの解説で、ソーンの一般書の内容に2015年までの進展や流行を追加したような内容で100ページ。5章は宇宙論に40ページ。 6章は重力波に60ページ。手に取ってみると妙に分厚い新書だと分かるが、あとがきで著者がページ数を勘違いして書きすぎて、出版社に迷惑をかけたとのこと。
著者の真貝氏は重力波に関して数値相対論の研究をしているとのことで、6章に過去の自身の研究のことも書いているので、それは本書の特徴となっていて、それは本書以外では得難いものだと思う。
読む前は最新の本だと思っていたが、もう10年も前の本である。シャドーはまだまだ見えそうもない、BICEP2は主張が弱くなったが他のグループによる検出が期待できるという記述は古臭くなった。重力波は本書の後に発見されて、さまざまな解説書の書かれ方も全く変わってしまったので、2015年時点での重力波についての専門家である真貝氏による記述は貴重なものだと言える。