2024年8月8日木曜日

清水「熱力学の基礎 第二版 II」を眺め終えた

清水明「熱力学の基礎 第二版 II」東京大学出版会、2021年
を眺め終えた。

東京大学教養学部一年生の講義のノートをもとにした熱力学の教科書である。初版は2007年であったが、第二版は2冊に分かれた。一般的なことが書かれており、熱力学の初学者には難しい。また、本書には章末の演習問題は一切なく、本書にはこの本の内容を消化する前に演習問題に取り組むべきではないと主張している。この教科書は読んで理解できた気になっても具体的な問題が出されると解けずに何も理解できていないことを悟る学生を大量生産するであろう。

読者が東京大学かそれと同程度の大学の学生であるか、または、物理というより数理物理的な興味を持ち、あまり具体例に興味がない学生には一冊目の熱力学の教科書としていい本かもしれない。普通の物理系の学生には熱力学の3冊目くらいの教科書としてちょうどいいであろう。