ポール・デイヴィス、(訳)林一、「タイムマシンをつくろう!」 草思社、2003年
著者は曲がった時空の場の量子論の研究や「Quantum Fields in Curved Space」の専門書で著名なあのP.C.W. Daviesである。P.C.W. Daviesは科学の普及でも有名であり、マイケル・ファラデー賞などを受けている。
本書はタイムマシンについての本格的な通俗書である。タイムマシン小史という年表ではタイムマシンに関わるSF小説と物理の理論が紹介されており、それだけでも興味深い。
一章は特殊相対論と一般相対論の入門書にも出てくるようなポピュラーなタイムマシンについて割かれており、二章と三章はワームホールの基本事項とソーンらによって提唱されたワームホールを使ったタイムマシンに割かれている。第四章はQ&Aである。理論物理としてまじめな理論に基づいた面白半分な研究を紹介するという本である。大学レベルの一般相対論の入門を終えた人には良い本だと思うが、一般相対論を知らないとわけのわからない本であると思う。