ラウラ・フェルミ(訳)崎川範行「わが夫エンリコ・フェルミ : 原子力時代を築いた人」法政大学出版局、1966年を読んだ。
原書は Laura Fermi「Atoms in the Family: My Life with Enrico Fermi」University of Chicago Press、 1954年である。1977年には「フェルミの生涯 : 家族の中の原子」という原書に寄せたタイトルで出版されているが改題されただけで同じ内容である。
タイトルの通りエンリコの妻であるラウラによる伝記である。原書が成功するのを見届けた直後にエンリコは亡くなったらしい。エンリコの存命中は社会的にラウラはエンリコの影に隠れるように生活していたが、本書の成功がラウラの社会的な独立の契機となったとのことだ。なので、本書は単なるエンリコの優れた伝記以上の価値があるように思う。
エンリコ・フェルミの伝記としては親しみやすい内容だと思う。翻訳本なので仕方がないが、本書の日本語はかなり読みづらい。原書で読んでしまうのも良いかもしれない。原書に触れる機会があったため、個人的には原書にも親しみがある。