リサ・ランドール、(監訳)向山信治、(訳)塩原通緒、「ワープする宇宙」、日本放送出版協会、2007年
を読んだ。
ランドール氏が共同研究者のRaman Sundrum氏と提案した修正重力理論を紹介した一般書である。この重力理論は一般相対論や修正重力理論の研究者の間で世界的に流行し、日本でも流行したらしいが、本書の日本語版が出版されたころには、簡単にできる理論研究はすでにやりつくされ、下火であったと思う。本書は一般の読者向けにかなり丁寧に書かれているが、この分野を志す学生が読んだとしても、その学生が研究を始めるころには本書の理論の流行の終わっていたであろう。また、監訳者の向山氏のように実際にこの理論を研究した研究者は本書を読む前にこの理論を知っていただろうから、本書の存在意義はあまりないと思う10年も流行が続かない理論は専門家だけが知っていればよいと思う。なんにせよ、良く書かれているので、それでもかまわないという読者は読めばいいと思う。