2026年7月2日木曜日

ランダウ、リフシッツ「力学」を読み終えた

エリ・デ・ランダウ、イェ・エム・リフシッツ(著)、広重徹、水戸巌(訳)
「力学(増訂第3版)」、東京図書、1974年
を読み終えた。

本書は理論物理学教程の第一巻である。初版は1958年に出版された。ラグランジアン、保存則、運動方程式の説明された後、重要な応用例として粒子の衝突、微小振動、剛体の運動について扱われる。最後に正準方程式で締めくくられる。

本文の説明や例題が教育的で、読んでいて面白い。200ページしかなく、扱われる話題は厳選されている。

解析力学と力学が別々に教えらえることが多いが、本書では融合していた説明になっていることが特徴の一つだと思う。また、力学と理論物理学教程の他の巻の物理との関連も書かれていることも特徴である。

力学について何も知らない大学一年生が読む本ではない。大学の物理学を一通り知っているが、大学院レベルの理論物理学にはなじみがない学生が読むと楽しめると思う。解析力学を学び始めた大学2年生なら読み始められると思う。

本書は理論物理学者が理論物理学者としての力学の感覚を教えるための本であり、解析力学の本でもないし、数学者が書くような力学の本でもないことに注意して読む必要がある。読者は本書を解析力学の本だと期待すべきではないし、数学的厳密性を期待すべきではない。そのような評価をする読者がいたら、その読者の方が勘違いしていると言わざるを得ない。

2026年6月30日火曜日

仲田佐々木「マンガおはなし数学史」を読んだ

(原作)仲田紀夫 (漫画)佐々木ケン「マンガおはなし数学史」講談社、2000年
を読んだ。
ブルーバックスの一冊。味のある絵柄の漫画。本書の内容は字にしたらつまらないと思うが、漫画では面白くなる内容や表現があると思う。その点ではうまくいっていると思う。漫画だから印象的で心に残るものもあった一冊である。

2026年6月27日土曜日

2026年6月25日木曜日

グッドチャイルド「ヒロシマを壊滅させた男オッペンハイマー」

(著)ピーター・グッドチャイルド (訳)池澤夏樹「ヒロシマを壊滅させた男オッペンハイマー」白水社、1982年を読んだ。
著者はイギリスBBCの記者。テレビシリーズと並行して作られた原書の出版は1980年。翻訳は完訳ではないそうだ。内容はオッペンハイマーの伝記であるが、オッペンハイマーの研究を物理学者として公平に評価したわけではなく、マンハッタン計画とその後の冷戦時代の役割について焦点が当てられている。オッペンハイマーの伝記はビジネスになるようである。「J. Robert Oppenheimer: Shatterer of Worlds」が原書タイトルなので、完訳してないことと合わせて翻訳者によって原書は大いに歪められている可能性がある。ほどほどの分量なので読みやすいと思うが、専門家ではないので内容の正しさについては何も言えない。

2026年6月20日土曜日

柴崎「中性子星とパルサー 」を読んだ

柴崎徳明「中性子星とパルサー 」培風館、1993年
を読んだ。
著者の柴崎氏は理論の物理学者である。本書は中性子星とパルサーの解説書である。理論と観測が絶妙なバランスで書かれている。見事であり、惚れ惚れする一冊である。

2026年6月15日月曜日

武谷編「安全性の考え方」を読んだ

武谷三男編「安全性の考え方」1967年、岩波書店
を読んだ。

岩波新書の一冊である。編者は武谷三男である。まえがきと13が武谷三男によるものだと思われる。1は高田ユリ、2は久保全雄、6は細川汀と金子嗣郎から提供された資料を基に河合武がまとめた。3は宇井純、4は吉田克己、5は星野薫夫、7は山田信也、8は河合武と藤本陽一、9は高橋晄正、10は三須田健、11は川上武、12は熊倉隆が執筆した。

病気や公害や原子力発電、航空機事故、職業病などの労災、などについて書かれている。かなり古びているが、それはそれで味がある内容だと思う。

2026年6月10日水曜日

ファラデー「ロウソクの科学」を読んだ。

ファラデー(訳)三石巌「ロウソクの科学」角川書店、1962年
を読んだ。
1861年末に行われたロンドンの王立研究所で行われたマイケル・ファラデーによる6回の連続講演の講演録である。当時はいくつかのお馴染みの化学の法則は知られていたものの原子の存在は確立していなかった。この講演の内容は小学校から中学校でならう化学に相当するレベルである。したがって、この講演で最新の科学を学ぶことはできない。しかし、ファラデーがどのように自然を理解していたのかがわかる。ファラデーの理解がいかに深く、物質や化学反応、物理現象の実例をいかに巧みに示しているのか知るにつれて感嘆するほかない。現在の我々の知識はファラデーをはるかに超えているが、このように小学校や中学生の化学や物理に関して、実例と自然について深く理解し、巧みに説明できる現役の化学者や物理学者や小学校や中学校の先生がどれだけいるだろうか。

ファラデーの同じ講演録はいくつかのタイトル、出版社、訳者によって世に出ている。もちろん、その違いはある。本書は角川文庫の一冊である。訳者による解説としてファラデーの短い紹介がある。その解説も私の心を何十年も打ち続けている。間違いなく本書は不朽の名作である。カバーの表紙はあまり好きではない。

2026年6月5日金曜日

狐崎吉川「新・核融合への挑戦 : いよいよ核融合実験炉へ」を読んだ

狐崎昌雄、吉川庄一「新・核融合への挑戦 : いよいよ核融合実験炉へ」講談社、2003年
を読んだ。
ブルーバックスの一冊。著者の一人の吉川庄一氏は1974年に「核融合への挑戦」を書いたが、全面的に書き直してほぼ別ものと言って良い本となっている。核融合とはいうものの実際の研究で重要なのは原子核物理ではなくプラズマ物理であるということが分かりやすく書かれており、目から鱗が落ちる。面白くて非常に良い本だと思う。

2026年5月30日土曜日

ファレル「ビッグバンの父の真実」を読んだ

ジョン・ファレル (訳)吉田三千世「ビッグバンの父の真実」日経BP 、2006年
を読んだ。
2005年出版のルメートルの伝記「The Day Without Yesterday Lemaitre,Einstein,and the Birth of Modern Cosmology」の訳書である。ルメートルは一般相対論、宇宙論と天文学の分野で先験的な研究を行ってきたが、その研究はほとんど無視され、不当に低く扱われてきた。その扱いの原因の一つは、現代的な視点からすると、ルメートルの一般相対論や宇宙論に関するいくつかの重要な研究が他の研究者よりも数年から数十年先んじて正しい方向に進んでためであろう。しかし、最近の20年では、国際的にその価値の見直しが図られ、ルメートルの地位は毎年少しずつ上がってきた。本書もその役割を担ってきたと言える。良い本だと思う。

2026年5月25日月曜日

谷口「宇宙のはてで銀河に会いたい : スターバースト・シンドローム」を読んだ

谷口義明「宇宙のはてで銀河に会いたい : スターバースト・シンドローム」丸善、1992年
を読んだ。
木曾観測所の口径105cmのシュミット望遠鏡で取られた写真がたくさん使われた写真集とも言えるし、天体の基本的な話から始めて、銀河の中で星ができているということを説明することを目指した一般書とも言える。本書の写真には多くの人が関わっているようで、たくさんの謝辞も載っていることも印象的である。

2026年5月20日水曜日

タバク「はじめからの数学1 幾何学 : 空間と形の言語」を読んだ

ジョン・タバク、(訳)松浦俊輔「はじめからの数学1 幾何学 : 空間と形の言語」青土社、 2005年
を読んだ。
原書は「GEOMETRY: The Language of Space and Form」で2004年に出版された。実際に手に取って読んで分かったことだが、この本は幾何学についての本ではなく、幾何学の歴史についての本である。著者はサイエンスライターである。私は数学者ではないので、読みやすいと感じるが、数学者はきっとこの本の正確ではない記述が気に入らないと思う。また、この本では一般相対論や特殊相対論についても書かれているが、その部分は私には気に入らない部分がいくつかある。これは私が物理学の教育を受けたからであろう。結局のところ、この本がいい本なのかは私には数学の力がなさ過ぎて、わからない。