ファラデー(訳)三石巌「ロウソクの科学」角川書店、1962年
を読んだ。
1861年末に行われたロンドンの王立研究所で行われたマイケル・ファラデーによる6回の連続講演の講演録である。当時はいくつかのお馴染みの化学の法則は知られていたものの原子の存在は確立していなかった。この講演の内容は小学校から中学校でならう化学に相当するレベルである。したがって、この講演で最新の科学を学ぶことはできない。しかし、ファラデーがどのように自然を理解していたのかがわかる。ファラデーの理解がいかに深く、物質や化学反応、物理現象の実例をいかに巧みに示しているのか知るにつれて感嘆するほかない。現在の我々の知識はファラデーをはるかに超えているが、このように小学校や中学生の化学や物理に関して、実例と自然について深く理解し、巧みに説明できる現役の化学者や物理学者や小学校や中学校の先生がどれだけいるだろうか。
ファラデーの同じ講演録はいくつかのタイトル、出版社、訳者によって世に出ている。もちろん、その違いはある。本書は角川文庫の一冊である。訳者による解説としてファラデーの短い紹介がある。その解説も私の心を何十年も打ち続けている。間違いなく本書は不朽の名作である。カバーの表紙はあまり好きではない。